September 26, 2009 10:44 PM
ワールド・オブ・ライズ('08 米)
Category:映画
Tags:movie ラッセル・クロウ リドリー・スコット レオナルド・ディカプリオ
複雑な世界をシンプルに語る
物事をシンプルに語るにはどうすればいいだろう。
この映画はロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)という米国CIAに属する諜報工作員の、中東地域における活動を追った物語だ。監督はリドリー・スコット。
フェリスと彼を取り巻く登場人物たちを映像は追っていくのだが、中東特有のごちゃごちゃした街の風景とは裏腹に、物語の語り口はいたってシンプル。彼(フェリス)と関係が無いことは、一切描かれない。
多くの映画では、物語を効果的に演出しようと「結論に到達してから振り返って道を探す」手法(時系列を行ったりきたりするような)を採る。しかしこの映画では素直に時系列を追っている。飽くまでフェリスを軸に。
だから、米国CIAの中東における諜報活動というとっても複雑な背景も、ストンと見ている人の腑に落ちる。
レオナルド・ディカプリオ
「タイタニック」を演じたのが1997年。それから彼是10年以上経ったのだが、マーティン・スコセッシをはじめ、スティーブン・スピルバーグ、ダニー・ボイルなど才気溢れる監督たちに愛されてきたディカプリオ。今回はリドリー・スコット監督のご指名を受けた。
「タイタニック」を上映当時、ディカプリオを初めてみた僕は「アイドル俳優?」といった印象を受けたのだが(「タイタニック」以前に地道に詰まれたキャリアのことを当時僕は知らなかった)、今や30代も中盤。年齢とともに着実に役者として成長を重ねているなと感じた。

作中でディカプリオ演じるフェリスは中東地域で諜報活動を行うCIA工作員だ。いわば現場に身を置く。作中の数多くの虚実(lies)の中で信義を梃子に動いていく。
スクリーンでぎらついた眼をした男がいたら、それがディカプリオ演じるフェリスだ。
ラッセル・クロウ

主に本国で指揮を執る、フェリスの上官エド・ホフマンことラッセル・クロウ。彼は常に正しい、原則としては。
作中で、自分の許を離れることは、アメリカから離れることだとも言い放つ。
「対テロ」の名の下彼が下す命令はぶれない。しかし現場は常にめまぐるしく動いている。それをよく理解するフェリスのことは高く評価している。
マーク・ストロング
この作品を通じて、この俳優、マーク・ストロングのことは初めて知った。作品を通じてとても素晴らしい演技をしていたと思う。

彼が演じるハニ・サラームは中東はヨルダンの情報部の局長。いわば中東のイチ国家の諜報活動のTOPだ。中東各地を根城にするテロ組織とは真っ向に対峙する。
彼は常に仕立てのいいスーツに身を包み、一見柔和な顔立ちをしている。そしてその語り口はとても上品だ。
しかしその内面は冷酷。特徴として「嘘」を嫌う。彼はフェリスに言う、「私に嘘をつくことは絶対に許さない」。
おわりに
映像や美術に非常にこだわる監督として知られているリドリー・スコットの手により、この映画は全編通して、観る者を「只中」に放り込む。
物語は冒頭に述べたように時系列に沿ってフェリスを軸に紡がれてゆく。「アメリカと反アメリカテロ組織」をテーマにしているが、ドキュメンタリーとしては弱い。しかし娯楽作品としては上質のそれに仕上がってる。
中東情勢にそこまで詳しくない著者でも楽しめた。是非レンタルしてみて欲しい。

Leave Your Words